EXHIBITIONS
2021.12.17 [fri] – 2022.2.10 [thu]
YUKIKOMIZUTANI
稲葉友宏 「星の足音」, 鉄・ウレタン塗料・アクリル塗料, h960×w1000×d400 mm, 2021
YUKIKOMIZUTANI では、2021年12月17日(金)より2022年2月10 日(木)まで稲葉友宏個展「THE STORIES THAT YOU SEE」を開催いたします。稲葉友宏は「空白」を意識することで、鑑賞者の想像力を介して物語を描く彫刻作品を制作してきました。YUKIKOMIZUTANIでの初個展となる本展では、作家が取り組んできた動物をモチーフとした彫刻作品を展示いたします。今までの鉄線を用いた鹿、羊シリーズの作品に加えて、「四角形」のフォルムで構成されたアルパカや、「星」で構成されたキツネといった新しいモチーフもこの機会に発表致します。
私は、「鑑賞者と想像を介した関わりを持ち続ける」彫刻作品を制作しています。 目には見えない物事を想像する「豊かな時間」のきっかけ になることが、芸術作品の一つの在り方と考えているためです。彫刻作品においては、物体のフォルムや存在感により想いを表現しますが、形のない「空白」を造形することで鑑賞者の想像力を喚起し、それぞれの物語を紡ぐ余白が生まれます。そうして鑑賞者の想像力に触れた作品は、造形のみにとどまらない豊かな彫刻表現となります。また、作品を前にして感じたことを他者と共有することで、多様な解釈があるということの豊かさを感じていただければと考えております。多様性、寛容性が問われる今、私は作品を通してお互いが理解しあえる寛容で豊かな日々が続くことを祈ります。
稲葉友宏
稲葉は、目に見えない物事を想像するきっかけとなることが、芸術作品の役割の一つだと考え、空間を介して鑑賞者の想像力を刺激する作品を制作してきました。稲葉の作品は、空間にドローイングをするように複数の鉄線を何度も曲げながら形を造形していくことで、一つの形が変化する瞬間を表現し鑑賞者にそれぞれの物語性をイメージさせます。本展で展示される作品では、作品の造形に象徴的なモチーフも組み込んでおります。「星」のモチーフは、鑑賞者にそれぞれの宗教観や死生観、宇宙科学や物語の記憶などに結びつくようなイメージとして用いられ、「四角形」については作家自身のイメージする社会や秩序など大きな存在と結び付けられ、現実世界の中に感じる目に見えない大きな存在を感じさせます。
彫刻作品に「空白」を持たせることについて、稲葉は土の中から発掘される古代の遺跡が持つ、元々どのような形をしていたのか、なぜ壊れてしまい歴史に消えたのかという「空白」からインスピレーションを受けました。稲葉は造形の持つ役割として、周囲の風景に溶け込み一体化するのではなく、それ自体が鑑賞者に想像力に働きかけ、それぞれの解釈を展開させ作品として生き続けることを意識しています。稲葉にとって作品の持つ空白は、鑑賞者の想像力が触れることによって物語が描かれる余白であり、その想像力により作品は自律性を帯び、稲葉の作り出す動物達に生命力を宿します。
空白や余白を享受することは様々な日本文化に通づる感性でもあり、あらゆる刺激が飽和する現代社会の中でこそ、見えざるものに思いを馳せることが、作家の思う「豊かな時間」なのかもしれません。この機会に、稲葉友宏の最新作をご高覧ください。
稲葉友宏
1984年 栃木県生まれ。2011年 文星芸術大学博士課程後期課程修了。鑑賞者の想像力を介して関わりを持ち続ける彫刻を制作しており、空間にドローイングをするように複数の鉄線で形を造形していくことで、一つの形が変化する瞬間を表現し鑑賞者にそれぞれの物語性をイメージさせる。2012年 越後妻有アートトリエンナーレ「大地の芸術祭」参加、2014年ミラノサローネ出品、2019年 ポーランド ウッチ市中央トラム駅 作品設置、その他、アメリカ、ソウル、ドバイなど海外で広く展示・作品設置
2021年12月26日 – 2022年1月10日は冬季休廊期間とさせていただきます。
'THE STORIES THAT YOU SEE' 2021, YUKIKOMIZUTANI
'THE STORIES THAT YOU SEE' 2021, YUKIKOMIZUTANI
'THE STORIES THAT YOU SEE' 2021, YUKIKOMIZUTANI