EXHIBITIONS

坪本 知恵 間の形 – undetermined forms –

2023.6.16 [fri] – 7.8 [sat]

YUKIKOMIZUTANI

Inscription(No.20-A,B) パネル、綿布、膠、顔料 各100号(1620×1303mm) 2023

YUKIKOMIZUTANIでは6月16日(金)から7月8日(土)まで、坪本知恵個展「間の形」(あいだのかたち)を開催いたします。1997年愛媛県生まれの坪本知恵は、地元小中学校の歴史教育や人権教材の中で、安藤正楽(1866-1953、県議会議員・歴史学者)により愛媛県四国中央市八坂神社境内に建てられた「日露戦役記念碑」を知ります。この石碑との出会いは、彼女に強烈なインパクトを残しました。様々な政治的、歴史的背景から文字が削られたまま次世代に受け継がれ、その地域で「顔のない碑」と呼ばれるその石碑によって作品制作へと誘われます。坪本は京都芸術大学在学時から刻印された文字とその消失をテーマに作品を発表し、その無作為の中に芸術性を見出してきました。ステンシルを用いて何度も塗り重ねられた文字は意味が読み取れない形になります。しかし、白い下地の間に見え隠れする「とめ・はね・はらい」からそれらが文字であると認識することができます。坪本は過去を「伝わる」と「伝わらない」の連続であると表し、その認識齟齬の上に今があるのだと考えます。そのような不確定で不確実な現実とどう付き合うのか、制作の中で模索しているのです。文字と形の間で認識を揺さぶる作品から、坪本のフィロソフィーが垣間見えます。YUIKIKOMIZUTANIでの初の個展となる本展を、是非ご高覧下さい。

 

 

坪本 知恵 | Chie Tsubomoto

1997年愛媛県生まれ。2020年京都芸術大学美術工芸学科修了。言葉の保存と伝達をテーマに作品を制作。近作は安藤正楽による日露戦役記念碑からインスピレーションを受け作品制作を行う。現在は京都を拠点に活動。

2019年公益財団法人クマ財団3期生、2018年「OSTEN BIENNIAL of DRAWING Skopje 2018」ではファイナリストに選出。2017年「ULTRA GLOBAL AWARD 2017」後藤繁雄賞。コーポレートコレクションにおおさか創造千島財団(大阪)、OCA Tokyo(東京)、OSTEN(北マケドニア)がある