EXHIBITIONS

Yabiku Henrique Yudi AFTERTHOUGHT

2022.3.4 [fri] – 4.9 [sat]

YUKIKOMIZUTANI

Yabiku Henrique Yudi 'AFTERTHOUGHT', 2022, YUKIKOMIZUTANI

YUKIKOMIZUTANIでは、2022年3月4日(金)より2022年4月9 日(土)まで、コラージュを主要な表現とするYabiku Henrique Yudi(ヤビク・エンリケ・ユウジ、以下「Yabiku」)の個展を開催いたします。DIESEL ART GALLERYで開催されたMOTION展に続く大規模な個展となる本展は「再考」や「後付け」などを意味する「AFTERTHOUGHT」と題されました。ヤビクの直観に従って制作されたコラージュ作品は、視覚性や遊戯性が重要視され、作品の意味や内容は後から付いてくものと定義されます。本展では、ヤビクによる最新の作品を展示いたします。

 

 

“AFTERTHOUGHT”

 

繋がりのない閃きが、やがて偶然のように重なっていく感じがした。

 

何層にも重なった時間と空間のレイヤーが交錯し、不思議な世界へ迷い込ませる。

分極化した時間とマテリアルは、私の直感を介して生まれ変わり、瞬間の気まぐれでキャンバスに一つの架空の世界となって現れる。

 

それは、私を介して現れるはずの日常が、気分の堕落や高揚に関わらず自然な世界を作り出しているようだ。まるで、私自身の意思を介していないかのように。

私が認識して現れる世界は、一方で私を匿名にしながら回っているのだろう。

 

– Yabiku Henrique Yudi

 

 

「コラージュ」は、異なる素材を切り貼りして造形作品を構成する技法です。Yabikuは文脈を逸脱した異質な素材、として既製のマテリアルから廃棄物となった古雑誌までを構成要素として捉え、偶然の中で起こる予期しない出合いを作品にします。本展のタイトル「AFTERTHOUGHT」は、相異した素材を組み合わせる過程で作家が直感したこと、またコラージュが完成して気づいたことを意味しています。

 

デジタル時代の幕開けに、Yabikuは故郷のサンパウロ(ブラジル)から日本へ移住します。Yabikuは制作過程に起きる事柄を「衝突」と表現します。多民族国家ブラジルで経験した異なる人種や階級による文化衝突、技術先進国日本で経験した伝統や価値観の新旧衝突、これらの幼いころからの経験が作品にあらわれています。光沢のある既製金属(メッシュワイヤー、チェーン、板)と廃棄寸前の古紙、旧来のモノクロ・シルクスクリーンと最新の2.5次元プリント、古雑誌から切り抜いた人と人の「衝突」を描いた写真を用いて、あらゆる「衝突」を作品にします。相互に関連する一連のコラージュ作品は、どこかコムニダーデ(貧困層)とエリーテ(富裕層)が入り交じる、多種多様な文化で活気あふれるサンパウロの街並み思い起こします。

 

ビルボードからインスピレーションを得たコラージュLast Minute(mixed media, 3500 x 1500 x 50 mm, 2022)は、ヤビクの表現する「衝突」を象徴するような作品です。50年以上前の雑誌に文脈を置き去りにし、切り取られたリングに立つボクサーの写真は、情報を失い違和感を抱く存在であります。2.5次元プリントで印刷されることにより、粒子やノイズが強調され、視覚的に立体化します。画面上でアルミ板やタイルといった質感が異なる素材と融合し「ビルボード」として姿を現すことにより、私たちが日常で見るビルボードとは打って変わって、周知一貫したデザインにはない力強さを感じさせます。「衝突」というテーマが根源にあるYabikuのコラージュには、相異した素材が起こす化学反応が「AFTERTHOUGHT」という形で思わぬ気づきをもたらすでしょう。

 

ヤビク・エンリケ・ユウジ

1997 年ブラジル、サンパウロ生まれ。11 歳より日本に移住。一時、文化服装学院にて服飾を学ぶ。その後、2017年よりコラージュを用いた表現活動を開始する。2019年に初の個展”FIRST IMPRESSION”をW+K+ Galleryにて開催。さらに同年、雑誌Them magazineにValentinoとコラボしたアートワークを掲載。そして 2022年、YUKIKOMIZUTANI Galleryにて自身の最大規模の個展”AFTERTHOUGHT”の開催に至る。作品は、愛と憎しみ、秩序と混沌、美と歪みといった二元的な叙述に囚われる鑑賞者の傾向に挑戦する。廃棄物ともいえる古雑誌のグラフィックと、アートの領域から程遠い、産業の領域にある既製のマテリアルを組み合わせることで芸術作品と消耗品、娯楽と効用、大義と機能的定義の境界線を曖昧にする。全て直感に任せて表現するスタイルは、東京のアート・ファッションシーンを席巻する。現在では、コラージュを中心にオブジェクトの作成や空間インスタレーションなど、その表現の裾野を広げている。

'AFTERTHOUGHT' 2022, YUKIKOMIZUTANI

'AFTERTHOUGHT' 2022, YUKIKOMIZUTANI

'AFTERTHOUGHT' 2022, YUKIKOMIZUTANI

'AFTERTHOUGHT' 2022, YUKIKOMIZUTANI

'AFTERTHOUGHT' 2022, YUKIKOMIZUTANI

'AFTERTHOUGHT' 2022, YUKIKOMIZUTANI

'AFTERTHOUGHT' 2022, YUKIKOMIZUTANI

'AFTERTHOUGHT' 2022, YUKIKOMIZUTANI

'AFTERTHOUGHT' 2022, YUKIKOMIZUTANI

'AFTERTHOUGHT' 2022, YUKIKOMIZUTANI